鳥取県文化振興財団情報誌【アルテ】

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2015August

鳥取県芸術家百華Vol.75 ギター奏者(ジャズ)・作曲家・編曲家 松本 正嗣さん

ジャズを始めたきっかけは

そもそも私はロックをやっていて、高校2年生の秋の文化祭で初めてエレキバンドを組みました。その当時は楽器を集めることさえ大変でした。そこからエレキギターにのめり込みバンド活動を続けていました。その後、高校を卒業し、東京の大学に進学した時に、私の他にもギターを弾ける人が二人いて、二人ともジャズを習っていたのですが、私より上手かったんですよ。そのうちの一人は大学を中退し、プロになりました。やはりプロになるためには、ジャズができなければいけないだろうと思い、そこからジャズの勉強を始めました。

練習風景
原信夫とシャープス&フラッツのメンバーとして参加した
演奏旅行時の松本さん/1975年ソビエト連邦(当時)

ヤマハ音楽振興会での講師時代

フォークギターがとても流行した時代に、ヤマハでギター教室の生徒を募集していたのですが、同時に、先生が不足しているということでフォークギターの知識や経験がほとんどないにも関わらず、初心者教室で教えることになったのです。ある日私のもとに、エレキギターの教則本を作るので協力してもらえないかと、ヤマハから依頼がきました。

しかし、エレキギターの譜面を書いたこともなければ読んだこともありませんでしたので、良い機会だと思い勉強を始めました。そのときに、チョーキング(音を鳴らした後に今押さえている弦を押し上げるか、もしくは下へ引っ張って音程を変える奏法)などの様々な演奏方法を譜面上でどのように表現したらよいのか、前例もないために悩んでいました。そこで、カントリーなどの譜面から使えそうな記号をアレンジして独自で作り上げたんです。私はその教則本は、ヤマハの教室で使用する程度だと思っていたのですが、譜面は一般に販売されてとても売れました。今ではエレキギターの譜面でその記号が当たり前のように使われるようになっているんです。

練習風景
ヤマハ音楽振興会での講師時代に作成したエレキギターの教則本

今後の活動について

ジャズをたくさんの人に、気軽に楽しんでいただけるようになってほしいですね。

ジャズは、ロックなど様々な音楽のベーシックなところに隠れていて、一般の方には見えない部分もあるのかもしれませんが、表立って見せないだけでサウンドやリズムなど、ジャズがあたえている影響はとても大きいんです。

一般の方にジャズへの興味を持っていただくために、ヴォーカルが入っている曲やスタンダードで耳触りの良い演奏の曲などを提示しながら、その中に少しずつジャズのフレーズなどの要素を取り入れ、ジャズの良さを伝えていくという事が私たちジャズミュージシャンとしての、今後の役割だと思っています。

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