鳥取県文化振興財団情報誌【アルテ】

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2015June

鳥取県芸術家百華Vol.73 「劇団おひさまとあおぞら」主宰 今度 珠美さん

地元劇団を立ち上げたきっかけ

元々、演劇を観るのが大好きでした。好きだから出てみたいと、20代のときに市民ミュージカル劇団を立上げたのが、初めての舞台出演です。

その後、結婚し、子どもが生まれ、親になり気づいたこと。それは、「子どもたちが生の芸術に触れる機会がない」ということでした。そこで子どものための劇団を創ろう!と思ったのが始まりです。子どもが芸術に触れるためには、親も芸術に興味をもつことが大切と感じていたので、声掛けをして親同志で劇団を創りました。私以外は、演劇経験が無く、県民文化会館で舞台技術を学んだり、行政に相談したりしながら手さぐりでのスタートでした。

幼児にこそ、生の芸術に触れてほしい

私が、一番危惧しているのは「地域、環境による芸術格差」です。ホールの近くと山間部等では芸術に触れる機会に差があります。そもそも芸術に触れる習慣のある家とない家があります。だから、すべての子どもが等しく芸術に触れる機会を作りたいと思いました。そう思うのは私自身、幼い時に初めて観た演劇の公演がずっと心に残っているから。私たちの劇をきっかけに芸術を好きになって欲しい、芸術に興味を示し、やがては自分で見る機会を作るようになってくれたらうれしい、と思いながら活動しています。

結成当初は、「素人集団」でした。しかし、親であることを強みに、絵本をアレンジしたオリジナル作品にこだわり、飽きずに観てもらえる様々な工夫を凝らしました。やがて年約1,000人超もの子どもに観てもらえるようにまでなりました。多くの子どもにとって人生で初めて見る演劇。目をキラキラさせて喜んでくれます。いまは仕事が忙しく劇団をお休みしていますが、ありがたいことに、いまも上演依頼を園からいただきます。再開は未定ですが、私自身いますぐにでも上演したい気持ちでいます。

心を育むお手伝いをしたい

「表現ワークショップ」は実施を続け、今年で5年になります。山間部の小学校を中心に劇団のメンバーと2人で行っています。「自分で考える力を身につけてほしい」ので、教え込む指導ではなく、子どもたち自身に「この役はどんな気持ちか?」「この役はどんなことを思っているだろう」と思考させることを大切にしています。

私は、インターネットやゲームと子どもの関わり方の指導もしています。一見、芸術と反対に位置するように思われますが、「自分を表現する」という意味では同じと考えています。ですので、インターネットやゲームを悪とは考えず、沢山の情報から自分がどう考え受け止めるか?を学んでほしいと思っています。

また、想像する力が身に付く「絵本の読みきかせ」は、保護者の方におすすめします。小さな子どもにとって「絵本」は怖いものです。なぜならどんな物語が展開するかわからないからです。保護者が一緒に物語の世界へ足を踏み入れることで、子どもは安心して本に対する信頼、好奇心を育んでいくのです。

芸術に触れることや本を読むことは、習い事をするのに比べ大きく目に見える変化はありませんが、子どもの好奇心、想像力は育まれていきます。そういう心を育むお手伝いを今後もしていきたいですね。

表現ワークショップの様子

劇の上演(山間地保育園)の様子

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