再び灯った芸能の灯り
江戸時代後期に生まれた法勝寺歌舞伎は昭和40年代に一度途絶えてしまいましたが、昭和59年に私が所属していた西伯青年団OBたちが中心となり復活することとなりました。それ以降、毎年数回公演を行っており、現在は大人も子どもも一緒となり町ぐるみで法勝寺歌舞伎を上演しています。
受け継がれる伝統の姿
稽古は毎週月曜日と水曜日に行われ、水曜日が子ども歌舞伎の稽古日にあたります。子ども歌舞伎の稽古では、兄や姉にくっついて来た子どもたちが遊びの中で自然とセリフを覚え始め、やがて「私は大きくなったらこの役を演じてみたい」という憧れを抱くようになり、子ども歌舞伎の舞台に立ちます。子ども歌舞伎は小学生までが対象なので、小学校を卒業した子どもたちは大人歌舞伎の舞台へと進んでいきます。ちなみに、現在の子ども歌舞伎には4歳から12歳までの子どもたち11人が元気に取り組んでいます。大人歌舞伎は中学校1年生からお年寄りまで非常に幅広い年代で稽古を行っています。大人歌舞伎は毎年演目を変えて取り組むので、以前舞台に立った役者が新しく舞台に立つ役者に対して細かな指導を行います。稽古現場は非常に 和気藹々としており、引き締めるところは締めつつ楽しく稽古を行っています。今は大人も子どもも12月7日の定期公演に向けてセリフを理解しながら振りを覚えていく段階です。
故郷の芸能に誇りを
次世代への継承というのは、このご時世では大変なことです。しかし、小さい子どもからお年寄りまで世代を超えた町ぐるみの取り組みを行うことで、子どもの頃から法勝寺歌舞伎に興味を持ち、社会に出てからも地元に古くから伝わる芸能に対して愛情を持ち、大切にし続けてくれることが私の願いです。