永年にわたり、南部町指定無形民俗文化財「法勝寺歌舞伎」の保存と継承に尽力し、地域に伝わる伝統文化の振興に多大な貢献を果たされた青砥さんにお話を伺いました。「継続は力なり」この言葉の重みを改めて感じたインタビューでした。
昭和59年、私が所属していた西伯青年団のOBが「地域の文化である法勝寺歌舞伎を復活させよう!」と呼びかけたのがきっかけです。その頃は地元の伝統芸能を自分達の時代で途絶えさせてしまってはいけない、ここで途絶えてしまったらもう復活出来ない、という熱い思いを胸に必死に公演をしてきました。
当時、残っている衣装はボロボロ、金銭的にも厳しい環境ではありましたが、多くの人との縁、つながりによって少しずつ衣装やかつら、協力してくださる方々も増え、また良き指導者にもめぐり逢えたことで、昭和60年4月第1回公演から現在まで続けることができたように思います。
8年前、子ども達ばかりで行う子ども歌舞伎を立ち上げました。それによる大きな変化は、法勝寺歌舞伎に対して地域の大人達の見る目が変わってきたということです。子ども歌舞伎に参加している子ども達は、お稽古の際に毎回浴衣を着ます。そして稽古が終ると必ず自分で浴衣をたたんで持ち帰ります。たたみ方が分からない小さい子には高学年の子ども達が自然に教えます。今、子ども達の親の世代でも浴衣を着る、たたむなど、日本人が昔から行ってきたことに触れていない人達が多くいると思います。しかし自分の子どもが自然にそれを行っている。そういったことに大人達が影響を受けたのだと思います。
日本の伝統芸能を伝えていく、それはほんの小さい細い糸でも決して切らずに紡いでいくこと、どんなことがあっても継続していくこと、それが大切だと思っています。8年前から参加している子ども達が中学生、高校生になった今でも子ども歌舞伎にピンチヒッターとして出演し、また公演があれば裏方などで活躍してくれています。そのつながりを切らさないようずっと継続していきたい、そしてその子ども達の手によって未来につないでいってほしいと願っています。
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