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リレーコラムvol.9 鳥取県の魅力と文化振興(財)鳥取県文化振興財団 理事 田中  仁成

 3年ほど前、作家の五木寛之さんにインタビューした。五木さんはトチもちが好物で、「トチは古代の日本人の貴重な食料源。鳥取は三徳山(三朝町)に原生林があり、最近は鳥取からトチもちを取り寄せている。これを食べると古代の生活を感じる」と鳥取の魅力を語っていた。古代の食文化は日本人のDNAの中に刷り込まれているのだろう。
 荒廃の危機にあるといわれる森林だが、鳥取県内では森林環境の保全が熱心に取り組まれている。森を守ることは単に環境保全というだけではなく、次代のために日本の文明を守るということにもつながる。
 初夏の風もさわやかな季節。山に若葉が萌え、身近に豊かな緑を満喫できる。森林は名水をはぐくみ、名水処が県内に点在する。名水だけではない。鳥取県は「食のみやこ」を標榜し、県内外に豊かな食材と食文化をアピールしている。安全でおいしい農林水産物は鳥取県の誇りともいえよう。
 県文化振興財団も文化や芸術という視点で、この鳥取県の魅力をもっとアピールすることができないだろうか。森林保全グループと一緒になった創作劇、農業団体とともにつくる食文化ステージなど、異分野との連携という発想は大切だと思うのだが。厳しい時代だからこそ新しい取り組みにも挑戦したい。



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