鳥取県民文化財団情報誌 アルテ
2009年3月
アルテとはスペイン語で「芸術・美術・技巧」などの意味で、英語では「アート」。アルテでは、県民文化会館をはじめ鳥取県内の文化施設のイベント情報を紹介しています。

文化豊穣〜 つなげ未来へ 〜

 鳥取県文化振興財団では、平成18〜20年度の3年間、鳥取県における芸術文化の振興を目的に「地元アーティストの人材発掘と育成」「子どもや青少年の文化芸術活動の推進」「鳥取県オリジナル作品の創造」を柱として、育成・創造型事業を実施してきました。その結果、新たな人材や文化芸術活動に参加する人々、鑑賞される方々との出会いの場を提供することができました。今後も地域の豊かな芸術文化を育み、未来に繋がる取り組みを続けたいと思います。
 今回は、この3年間に実施した主な事業についてご報告いたします。

【郷土芸能】鳥取県青少年郷土芸能の祭典

事業内容 次代を担う若者を育成するための青少年による郷土芸能の公演
平成18年度 「情熱舞台〜受け継ぐ魂! 未来への創造〜」
平成19年度 「情熱舞台〜未来へつなげ! ふるさと創造〜」
平成20年度 「情熱舞台〜未来へ伝承! ふるさとの宝〜」

事業実績

平成18年度(倉吉未来中心)
出演9団体 出演者139名 入場者855名

平成19年度(ビッグシップ)
出演8団体 出演者150名 入場者1,033名

平成20年度(とりぎん文化会館)
出演9団体 出演者152名 入場者833名

鳥取県青少年郷土芸能の祭典2008実行委員長 福田武規さんにお聞きしました。

今月の顔

福田武規
福田武規
倉吉市在住
●鳥取県和太鼓連盟名誉会長
●倉吉打吹太鼓振興会顧問
●倉吉まちづくり協議会会長
鳥取県青少年郷土芸能の祭典への思いをお聞かせください。
第1回目(平成15年)に、「青少年郷土芸能の祭典」を開催するという素晴らしい発想をいただき、挑戦する勇気をもらうことができました。関係者の皆さまには心より感謝しております。
福田さん自身も郷土芸能(倉吉打吹太鼓)に携わっておられますが、どういった気持ちで取り組みをされているのですか?
郷土芸能は人の創り出した文化であり、その地域の大切な宝物でもあります。この受け継がれた地域の伝統文化に誇りを持ち、次世代へと受け継いでいくことが、大事だと考えています。
青少年郷土芸能の祭典は“青少年”による郷土芸能ですが、子どもたちが郷土芸能を受け継ぐことにどういった意味があるのでしょうか?
大舞台に出演したという思い出は、何年経っても子どもたちの心に残ると思います。見えない財産(心の財産)をつくることの一つが郷土芸能の発表の場ではないでしょうか。また、将来、鳥取の地から離れるようになったとしても、彼らは、郷土への愛情や誇りを持ち続けることができます。郷土芸能は、ふるさとを未来へ繋ぐものと信じています。
今後の抱負についてお聞かせください。
郷土芸能を通して、子どもたちに夢を与えていければと考えております。彼らを育てていくことが私たちの務めであり、鳥取県のためにしていかなければならないことです。

鳥取県出身のアーティストによるコンサート「こどもの楽園」

事業内容 県出身・在住の音楽家たちを中心に編成されたオーケストラによる
親子で楽しめるコンサート

事業実績

平成18年度(とりぎん文化会館) 県出身・在住出演者17名 入場者1,294名
平成19年度(とりぎん文化会館) 県出身・在住出演者15名 入場者1,367名
平成20年度(ビッグシップ) 県出身・在住出演者15名 入場者1,508名
鳥取県出身のアーティストにプロの演奏家との共演を通して、スキルアップを図る機会を提供するとともに、その存在を広く紹介することができました。
また、親と子がクラシック音楽に親しみ、感動を共有する機会を提供し、来場された方々からは“楽しかった”との感想を多くいただきました。公演前には楽器に触れる場を設け、次代を担う子どもたちが、クラシック音楽の愛好者、活動者として鳥取の音楽文化に参加できる環境づくりにも努めました。

地元アーティスト支援事業

事業内容
平成18、19年度 鳥取県内在住及び
鳥取県出身者で、将来性のあるアーティストを
オーディションにより発掘
平成20年度 平成17〜19年度のオーディションの知事賞受賞者(ピアノ、声楽、チェロ)による記念演奏会

事業実績

平成18年度(とりぎん文化会館)
オーディション参加者22名 2次選考入場者450名
平成19年度(とりぎん文化会館) オーディション参加者17名 2次選考入場者363名
平成20年度(倉吉未来中心) 出演者3名 入場者501名  
オーディションの第1次、第2次選考を経て、研ぎ澄まされた若きアーティストの演奏を多くの方々に聴いていただき、新たな人材の発掘と紹介をすることができました。
知事賞を受賞された方は、プロのオーケストラと共演するという貴重な体験を通して、今後ますます、活動の場を広げられると思います。また、多くの方は財団事業や他の県内音楽公演に出演し、県内の音楽文化の向上に貢献されています。

【演劇】鳥取県演劇創造事業

事業内容

◎県内の演劇人のレベルアップと演劇愛好者の裾野拡大を目的とした演劇創造・公演(オーディションにより選ばれた県民が出演)
◎舞台スタッフの養成を目的とした講座等の開催、鳥取県オリジナルの戯曲を創造するための戯曲講座の実施(優秀な2作品についてはドラマリーディングとして発表)

事業実績
平成18年度 (演劇公演:とりぎん文化会館で2公演、ビッグシップで2公演実施) 
東部公演:出演者13名、入場者350名 西部公演:出演者7名、入場者245名
(舞台スタッフ養成講座:とりぎん文化会館で28日間、米子市文化ホール及びビッグシップで34日間実施)
東部地区:受講者延べ111名  西部地区:受講者延べ54名
平成19年度 (演劇公演:米子市文化ホールで2公演実施) 出演者11名 入場者324名
(戯曲講座:東部、西部で計5回実施) 受講者5名 見学者4名
(ドラマリーディング:とりぎん文化会館で1公演実施) 出演者13名 入場者62名
平成20年度 (演劇公演:鳥取市民会館で2公演、米子市文化ホールで3公演実施) 
東部公演:出演者7名、入場者363名 西部公演(西部公演は3/7、8実施):出演者9名
この事業をキッカケとして演劇活動に挑戦する方も増え、3年間で培った経験やネットワークから、新たな創造活動を開始していただけることに繋がるのではないかと期待しています。また、専門家を招聘することで、特に戯曲を分析する力をつけられたと感じています。
平成19年度からは職員のアートマネジメント力を高め、専門性を養うため、プロデューサーとして起用し、実践的なプロデュースを推進できる体制を整えました。

高校演劇ワークショップ

事業内容

高校演劇部員を対象にした演劇に係る創造活動・演出等の講義、実践指導を行うワークショップ

事業実績
平成18年度 (東部、中部、西部で計7日間実施)参加者199名
平成19年度 (東部、中部、西部で計7日間実施)参加者177名
平成20年度 (東部、中部、西部で計7日間実施)参加者166名
県内では専門家が極端に少ないことを踏まえ、基本に忠実な演劇ワークショップを実施しました。その結果、演劇に対する誤解を払拭することができ、高校生が伸び伸びと演劇創造に向かえるようになりました。
また、ワークショップを通じて、他者とのコミュニケーションの大切さについて伝えることができ、アンケートからも、“日常生活でも活用したい”という感想を多くいただきました。

演劇大学

事業内容

日本演劇界のトップで活躍する演出家による演劇人(演出家・俳優)養成のための講座やワークショップを日本演出者協会と共催で実施

事業実績
平成18年度(ビッグシップで4日間実施) 参加者延べ304名
平成19年度(とりぎん文化会館、鳥取市民会館で3日間実施) 参加者延べ150名
平成20年度(倉吉未来中心で3日間実施) 参加者延べ74名
県内では機会の少ない演劇を学ぶ場は、演劇初心者や学生を含めた演劇関係者が、演出や演技などの知識を得たり、県外の演劇関係者との交流を図る貴重な機会となりました。“鑑賞者としても、より演劇の魅力を知ることができた”という意見もいただき、鑑賞公演とは違う視点で、演劇の持つ力を広く伝えることができたのではないでしょうか。

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