われわれ県民が心豊かにこの鳥取の地で生きていくことは基本的なことで大事なことと思っている。芸術文化の果たす役割は、あらゆる年齢層を超えて深く、幅広い。
素晴らしく質の高い芸術作品を鑑賞することは、今生きている生命の実感とこれから生きていくことの強いエネルギーとなる。
一方、自分も創作活動に参加することによりその工夫と芸術的精神活動の共に創り出す喜びとむつかしさを実体験することができ、人の作品を共感することもできる。鑑賞とともに同じ地域に生きる者どうしの理解と親しみが味わえる。
鳥取県立県民文化会館設立のころ、日本を代表する新劇団の一つの全国巡回の鳥取公演があった。そのベテラン俳優の方と私は古くから親交があり、素晴らしい公演のあと、いい会館であったと褒めてくださり、湖山池南に新築したアトリエにお招きし、妻の創作コサージュをプレゼントすると、以後の公演に幾度も使用していると今も懐かしく語ってくださる。私はその会館の展示室で多くの展覧会とかかわり、中でも韓国・江原道美術協会と鳥取県美術家協会との交流美術展をここでも開催し、今年9月江原道で行われる第6回目の交流展など、発展の基盤の一つにもなっている。
昨年鳥取県立倉吉未来中心の大ホールで開催された鳥取県文化団体連合会の会員団体の伝統文化の良さ、古くからある民踊の中にするどい美しさを満席の皆様とともに私は感じとった。協賛の若人演奏和太鼓の迫力と、照明の効果などに館の地道な技術のさえを見た。
ほんの二、三の例を書いたが、両会館が県民に愛され、使われ、県民それぞれの生涯の心の財産になるよう、新たなる充足感をめざして一つ一つを大事にしてゆきたいものです。 |