文化芸術を取り巻く環境は近年急速に変化し、時代に即応した文化芸術振興の在り方が求められるようになりました。そのような中、今後5年間を目途とした「文化芸術に関する基本的な方針」、いわゆる「第2次基本方針」が平成19年2月に閣議決定されました。その重点課題として、日本の文化芸術の継承、発展、創造を担う人材の育成が掲げられ、特に文化芸術活動を支えるアートマネジメント人材の育成の必要性が明確に位置づけられました。これまで国は、創造団体への支援やアーティストの育成に力をいれてきたわけですが、指定管理者制度の導入による人材の劣化やアートマネジメント教育を受けた学生の雇用などの問題が浮上し、公立文化施設の職員や民間非営利組織でアートに従事するマネジャーの専門的な育成が急にクローズアップされるようになりました。アートマネジメントの概念は、端的に言うと芸術運営。広義には芸術と社会の出会いをアレンジし、芸術の社会展開を図ることであり、狭義には、企画立案・予算管理・資金調達・マーケティング・チケット販売・広報・権利処理などのアートに関わる事業の運営、アーティストの芸術活動の管理、創造団体の組織運営、文化施設の管理運営などのノウハウや技術のことをいいます。90年代初頭に欧米から流入され、全国で定着しつつある昨今、これら全般的なマネジメントを推進していく専門性豊かな人材が地域での活躍を期待されています。地域の文化度を向上させるのも、新しい鑑賞者を掘り起こすのも、良質な作品をプロデュースできるのも、このアートマネジメント人材を地域でどのように育成していくことができるかにかかっています。(了)
※アートマネジャーとプロデューサーの違いについては、双方明確な定義はない。役割や仕事内容はほぼ同じ。強いていうならばアートマネジャーは非営利的に用いられ、プロデューサーは主に商業資本を活用したプロジェクトにおいて用いられることが多い。 |