前回(4月号)の続きですが、思い入れのあるチラシは独りよがりにもなりやすい。いかに一般の鑑賞者の視点に立って情報ツールや内容を考え、伝えたいメッセージを発信するかが広報の勝負といえるでしょう。「すばらしい公演なのに観客がきてくれない」このような嘆きは至るところで耳にしますが、創造者側の傲慢さにも原因があり、鑑賞者に対して効能的なチラシを作成するということを謙虚に捉えるべきだと思います。これは自戒も含めてです。また一方で、受信する側の問題もあります。これは地域の文化度に密接に関係してくることです。いくら戦略的に、効率的に、かつ有効的に情報発信しても、それを受け取る受信者側にその「感性」というアンテナが張り巡らされていなければ、PRが意図するところの公衆との関係づくりが成立しません。実はPRは発信者側の問題だけではなく、受信者側にも大いに問題があるということです。では、どうしたら受信者の感性のアンテナを育成することができるのか。これには残念ながら即効薬はなくて、漢方処方のように「文化芸術の楽しみ」をジワジワと浸透させて行かなくてはなりません。時間のかかることですが、県民の一人一人が文化芸術に親しむ土壌をつくって、その輪を広げていかないことにはその目的は達成できません。目の肥えた鑑賞眼を持った鑑賞者を数多く育成していくということが地域文化の発展には最重要課題であるということです。発信する力と受信する力がバランスよく働いてこそ、広報活動=PRが地域社会の中でうまく循環し始めます。 |