「広報PRが足りていない」鑑賞者アンケートや事業推進等の委員会でよくご指摘をいただきます。本年度の広報予算は前年よりも倍加して、毎月発行の「アルテ」に加え、テレビ・新聞・ラジオなどを活用したメディアミックスで広報戦略を考えました。また、企画制作部内には広報・マーケティング担当を専従で配置し、トータルで広報と鑑賞者開発に取り組む体制を整えました。先日この広報戦略の費用対効果を担当に調べてもらったところ、マスコミ等での電波媒体から情報を入手したという方が友人・知人の口コミよりも約3%上回り、チラシ配付の効用も含めると7%強の伸びをみせました。微々たることですが、確実に潜在的な鑑賞者の掘り起こしに成功しており、これが総チケット収入をグイッと引き上げる方向に向かえば、財団財政の安定化にとって、更によい状況を作ることが期待できます。ご存知の通り、PRはパブリック・リレーション(public relations)の訳で、「情報のやりとりを通じて人と人との関係づくり、企業や公共機関、社会全般のよりよき関係づくり」と定義されます。公演担当者の情報ツールとなるものがチラシで、その作成にはいつも担当者の思いや挑戦が散りばめられているのですが、公衆との関係づくりという視点に立ってその内容を検討しているかというとそうでもない場合が見受けられます。例えば、演劇が嫌いな人に、著名な劇作家の名作が上演されるといくらチラシに明記してもその情報だけでは観劇はしないでしょう。しかしながら、物語の内容からその作品の興味をそそるような情報を提供できたとしたらどうでしょう?人間にとっての普遍的テーマ(家族愛とか、社会問題とか)がキャッチコピーとして入っていたら、もしかすると観劇してみようかなと気持ちが揺れ動くかもしれません。そのようなきっかけを鑑賞者に提供するということが重要です。 |
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