鳥取県民文化財団情報誌 アルテ
2008年3月
アルテとはスペイン語で「芸術・美術・技巧」などの意味で、英語では「アート」。アルテでは、県民文化会館をはじめ鳥取県内の文化施設のイベント情報を紹介しています。

 平成13年4月、倉吉未来中心は“人と人との交流”を促進し、“地域の活性化”を図ることを目的にオープンしました。これらの目的を達成するため、開館当初からアトリウムを中心に地域文化活動者の発表の場を提供し、中部地域の賑わいを創出しようとしてスタートしたのが楽演祭(がくえんさい)事業です。今回はそのスタイルを様々に変えてきたこの事業が、どのように展開されてきたのかを、また、この事業から生まれた新たな市民プロジェクトをご紹介いたします。



みらいアートギャラリー
パイプオルガンの夕べ

 楽演祭の「楽」は“楽しむ”“音楽”を、「演」は“演じる”“演劇”を、「祭」は“まつり”“賑わい”を表します。日頃、音楽や演劇、伝統芸能や美術などの文化活動に取り組んでいる人たちに活動の場を提供し、たくさんの方々に気軽に観て聴いていただくことを目的に始まりました。
 楽演祭事業は大きく3事業によって構成されています。(1)パイプオルガン事業(2)アトリウムLIVE事業(3)みらいアートギャラリー事業です。なかには参加者で構成される実行委員会で運営されるものもあり、まさに住民参加型の事業として定着してきました。



倉吉のランドマーク“アトリウム”

 高さ42mの吹き抜け空間、1,700平方メートルのオープンスペースは自由な発想による、あらゆるジャンルのイベントが開催でき、人々の憩いの場、出会いの場としての利用ができます。木造で構成され、自然光を十分に取り込むことで、温かみあふれる場となっています。


オープンスペースを活用したライブ

 この人々が行き交うオープンスペースを活用したイベントがまさに楽演祭事業です。特に「アトリウムLIVE」「パイプオルガンの夕べ」は“ふらり”とパークスクエア を訪れた人たちにも、気軽に楽しんでいただけるイベントとなっています。発表の場の提供に加え、新しいアトリウムの活用法の提案としての位置付けも併せもっています。皆さんの自由な発想で、賑わいあるオープンスペースを創りあげてみてはいかがでしょう。

倉吉未来中心、鳥取二十世紀梨記念館、倉吉交流プラザ、鳥取県男女共同参画センターなどを含めた総称。


■自己流?…学ぶ

 倉吉未来中心が所有するパイプオルガンはポジティフオルガンという小型のオルガンです。バロック期には家庭でアンサンブルなどが楽しまれました。
 未来中心が開館した平成13年の12月、クリスマスイベントとして、地域のピアニストやエレクトーン愛好者が暗中模索の状態でアトリウムでの演奏会を開催したのがこの催しのスタートでした。



■ピアノとは違う?…オルガンのことを学びたい!

倉吉未来中心のポジティフオルガン

 ピアノとは似て非なるもの、それに気付いた演奏者は、専門家の指導を受けることの必要性をひしひしと感じてきました。
 平成15年、松江プラバホールの専属オルガニスト 米 山 麻 美 よねやままみ氏をお迎えし、講習会がスタート。併せて米山さんのスペシャルコンサートも始まりました。


■いろいろなジャンルのアーティストを集めたい…
 
テーマを決めてコラボレーションイベントに

 いろいろなジャンルの活動者を集めてコラボレーションイベントへ。平成15年5月、ふるさとをテーマに「ふるさとって、ええなぁ Special」と題し、フォーク・ダンス・民謡などのグループが参加。その後、落語や演劇、ジャグリングが登場し、バラエティに富んだライブが開催されました。
 平成17年度より「フォーク大全集」というフォークイベントを地元演奏者のプロデュースにより開催。翌18年度には「旧倉吉線倉吉駅」をアトリウムに再現し、1960・70年代のフォークで団塊の世代の方々の心をとらえました。

■ライブハウスをホールの中に再現しよう!

 倉吉市内にはかつていくつかのライブハウスがあったのですが、現在は1軒も残っていません。そこでアトリウムLIVE出演者の中から小ホールでライブができないかという提案があがりました。“小ホールを平土間にすればドリンクバーが作れるんじゃないか?”
 アトリウムLIVEのスペシャルバージョンとして平成18年2月「ィかっさまバンド天国」を開催。今年2月に開催された「Mecha しぶ ナイト 倶楽部 2008」へと継承されています。近年のプロの公演でも、このライブハウススタイルを採り入れています。


■舞台パフォーマンスだけがアートじゃない!

 平成16年度から、絵画・写真・書道など、舞台芸術以外においてもアマチュアアーティストの作品発表の場を提供しようということで、未来中心のセミナー棟廊下の壁面をギャラリーとして貸し出すことになりました。「未来画廊」という名でスタートしたこの企画は、現在「みらいアートギャラリー」と名称変更し、本格的な油絵展、中学校美術部の発表の場などとして利用されています。

■ギャラリーから生まれたポスター・展示されたポスター


平成17年3月 小ホール
ドラマリーディング「大極殿」
日本画/福島いずみ(鳥取市在住)
平成18年7月 大ホール
熱帯JAZZ楽団
イラスト/藤井陽子(米子市在住)

 公演を開催するにあたり必要なもののひとつにポスターがあります。過去、未来中心で開催された公演の中には、このギャラリーに出展されたイラスト作品から生まれたポスター、地元アーティスト作品を公演ポスターに採用し、ギャラリーに展示させていただきました。



パークスクエアの名物イベント誕生
倉吉パークスクエア「食彩館」ぷちぐる通りLIVE
 事の始まりは、何気なく市報の小さな募集欄に目を止めた時でした。「フォーク」という言葉に心を動かされ、今では私自身のライフワークのようになっています。フォークのライブをする事によって同世代の方や、若い世代の方もきっと温かい気持ちになってもらえると信じ、今では新しい試みとして「食彩館ぷちぐる通りLIVE」という企画を、昨年の春から始めています。ささやかな活動ですが、「倉吉の元気」の為のお役に、少しでも立てばと思い活動しています。
※食彩館ぷちぐる通りLIVE
  場  所 : 食彩館カレーショップ「てけてけ」前広場
  開催日時 : 4月〜10月(毎月最終日曜日 PM1:00〜2:00予定)

オルガンの魅力に魅せられた仲間たち
『オルガンの会』
 2001年の冬、オルガンの弾き方や音色、テンポなど、浮かんでは消えない数々の疑問を抱えたまま、半ば闇雲に、それでも必死で練習して“夕べ”に臨んだあの時から6年が経ちました。“夕べ”のような演奏会を自分たちで企画・運営し、互いに切磋琢磨しながらオルガンを続けていきたい〜思いを同じくする米山先生の講習会受講生有志で2006年夏に立ち上げた“パイプオルガンの会”は、「月1回のアトリウム演奏会を1年間続けよう」という当初の目標地点を通過し、結成から2回目の春を迎えようとしています。
 “風の楽器”といわれるパイプオルガンの音色を、たくさんの方に聴いて、感じていただけるよう、これからも続けていきたいと思っています。

アトリウムLIVEやオルガン講習会にはどうしたら参加できるのですか。
アトリウムLIVE出演希望の方は、活動内容を未来中心までお知らせください。
パイプオルガン講習会は9月から開催予定です。参加を希望される方には、あらためてご案内いたします。
アトリウムでイベントを開催したいのですが、申込方法や準備には何が必要でしょうか。
倉吉未来中心施設利用課までご相談ください。企画や舞台のスタッフもご相談をお受けいたしますので、お気軽にお問合せください。
みらいアートギャラリーで展示したいのですが、会場使用料金は必要ですか。
発表の場の提供ですので料金はいただいておりません。
販売を伴うような営利目的での展示はお断りしておりますので、ご了承ください。

「楽演祭」についてのお問合せ先 : 倉吉未来中心(0858)23-5390[代表]・23-5391[文化事業課]


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