鳥取県民文化財団情報誌 アルテ
2007年9月
アルテとはスペイン語で「芸術・美術・技巧」などの意味で、英語では「アート」。アルテでは、県民文化会館をはじめ鳥取県内の文化施設のイベント情報を紹介しています。




田口さんは、尼子と毛利の米子での合戦を描いた
『尼子再興〜勝田浜合戦〜』を演出されるそうですが?

田口 合戦を「米子がいな太鼓」さんに和太鼓で表現していただきます。前後のストーリーを観客の皆様に伝える為、史実を朗読し、農民一揆などの地域の様子を舞で表現したいと思っています。今回、演出するに当たって色々と調べるうち、尼子側の人間模様、特に山中鹿介に惹かれています。最後まで尼子再興を貫く意志の力はものすごいですよね。

本田 山中鹿介は、家督を継ぐとき、「願わくは、我に七難八苦を与え給へ」と三日月に祈り、降りかかってくる困難を叩き伏せ、尼子家を再び強大な大名家にする事を誓ったと言われていますが、本当ですかねぇ。

田口 分かりませんが、何度捕らえられても逃げ出し、一時は海賊になって資金集めをしてまで尼子再興を図ろうとする史実を考えると、その思いは本物だったのではないでしょうか。


和太鼓での合戦とは?

本田 尼子軍と毛利軍のリズムをつくり、合戦のように交互に演奏することで、両軍の攻防を表現し、最後には両軍が交戦する迫力ある曲に仕上げたいです。
太鼓は、幼児から老人まで誰でも音を出せる単純な楽器です。単純だからこそ、相手の心に響く音を打つのはとても難しいです。テクニックだけでは聴き手の心に届きませんね。是非、勝田浜で繰り広げられた450年前の合戦をありありと思い浮かべられるような演奏をしたいと思っています。


亀尾 地元の歴史を地域の方に伝えてもらえる試みを嬉しく思います。是非、たくさんの方に見て、感じていただきたいです。



亀尾さんは『勝田浜合戦記』という郷土史本を自費作成されていますが?

亀尾 米子東高等学校グランド横の観音堂に集積されている五輪塔が『勝田浜合戦』に関連あると思い、足で歩いて調査をし、地元で行なわれた合戦の本を創ってみました。五輪塔など、現実に残っている物を前にすると、史実だけでは得られない、当時の山中鹿介の思いの深さが感じられます。今回、郷土芸能という手法で表現される勝田浜合戦を見て、どのような思いが湧くのか、楽しみです。


参考文献
山中鹿介幸盛(妹尾豊三郎著)


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