鳥取県民文化財団情報誌 アルテ
2007年6月
アルテとはスペイン語で「芸術・美術・技巧」などの意味で、英語では「アート」。アルテでは、県民文化会館をはじめ鳥取県内の文化施設のイベント情報を紹介しています。

『春季全国高等学校演劇研究大会』に行ってきました!音楽を志す方は小さい頃にピアノを始めたり、小学校、中学校、高校でオーケストラ、吹奏楽に関わり、更にその演奏技術を高めるため、音楽大学に進学するのが一般的です。そして、プロの音楽家として世に出るには、「良き師につくこと」がもっとも大切です。自分の才能を育て世に出すためには、優れた指導者に良い方向に導いてもらう必要があります。
 また、コンクール、オーディションに挑戦し、自分の演奏を第三者に評価してもらうことが技量の向上につながります。その才能を広く紹介できる絶好の機会です。
 この登竜門で、好成績をあげてからが、本当の勝負です。その後の演奏で評価を確立し、更に世に認めてもらうことが必要です。譜面に書かれていない部分を聴き手に伝え、聴き手の心に訴える演奏をし、感動させ、魅了するだけの新鮮な表現力を備えることができれば、プロの音楽家への近道となるでしょう。

 (参考文献 : 音楽家になるには 中野 雄 ぺりかん社)


ファゴットとの出会い・きっかけ
◎なぜ、中学生の時(鳥取市立東中学校)、吹奏楽部に入部されたのでしょうか?
 ずっとピアノをやっていたこともあり、音楽は好きだったので、ピアノだけではなく、他の楽器もやってみたいと思いました。

◎なぜ選んだ楽器が、ファゴットだったのでしょうか?
 最初は絶対にフルートがやりたかったんです。でも希望どおりには行かず、当時の顧問である馬渕先生に「ファゴットをやってみない?」と言われ、「ファゴット…? 何それ ?」から始まりました(笑)。

県外の高校(音楽専攻)
◎なぜ鳥取を離れ、県外の高校(岡山学芸館高等学校・吹奏楽特別コース)に進学されましたか?
 楽典(楽譜の読み方、音楽理論の基礎)や、ソルフェージュ(読譜)を一から学べる上に、吹奏楽もアンサンブルもできる…。私にとっては、まさに理想の学校でした。ここしかない!と何の迷いもなく決めました。

◎ここで何を学びましたか?
 音楽はもちろんですが、高校時代は「仲間の大切さ」を学びました。決して一人ではできない音楽を、仲間と共に作り上げてきた3年間でした。今でもこの3年間の思い出は宝物です。

音楽大学
◎東京芸大では、いかがでしたか?
 「井の中の蛙」だったことを思い知らされました。演奏の実力も、ソルフェージュ力も、レベルが違いましたね。こんな素晴らしい人達と共に学べる事ができるのは嬉しかったです。
 ここでは、プロ奏者になるための技術、知識、精神を学んだと思います。

大学卒業後
◎平成16年に大学を卒業して、どのような活動を始めましたか?
 関東の中学校・高校の吹奏楽の指導や、桐朋学園大学音楽学部の嘱託演奏員としての演奏活動を経て、在京のオーケストラや室内楽で演奏活動をしています。

◎大学を卒業して半年後、第1回目の「鳥取県管弦打楽器オーディション」で知事賞を受賞されました。
 地元の両親や知人にソロを聴いてもらう機会があまりなかったので、オーディションというよりとにかく「聴いてほしい!」という気持ちが強かったです。それが結果として知事賞を頂けた事は、非常に嬉しかったです。

◎さらに、昨年(平成18年)は郷里の鳥取で、数々の演奏会に出演されました。
・18年2月 知事賞受賞者コンサート 関西フィルとの共演。
 いつもオーケストラ側にいるのですが、ソリストで共演するのは初めてで、緊張しました。大変貴重な経験をさせて頂いたと思っています。
・18年4月 鳥取市文化ホールで、木管アンサンブル自主公演(東京芸大のメンバーと、里帰り公演)
 初めて地元で室内楽の演奏会を開きましたが、たくさんの方に来て頂き、また非常に暖かい雰囲気で聴いて頂き、メンバー一同感激していました。その後、東京、北海道で公演しました。今年6月には香川での公演を予定しています。(「ザ・フォレストvol.4」6月15日(金)開演19:00 会場 高松テルサホール)
・18年8月 パブロ・カザルス夏期国際アカデミー参加(フランス・プラート)
 初めて国外の講習会に参加させて頂きました。国によって音楽の捉え方や演奏法が様々で凄く新鮮でした。
・18年11月 鳥取県出身アーティストによるコンサート「こどもの楽園?」出演
 客席の子供達がとても楽しそうに聴いているのが印象的でした。宮川彬良さんのアレンジも素晴らしく、演奏している私も楽しかったですね。音楽は人を楽しませるものだという事を改めて感じました。

◎ファゴットという楽器について、その特徴・魅力を教えてください。
音色
 木管楽器の中では最も低い音が出ます。決してトランペットやフルートのように華やかで大きな音ではありませんが、素朴で暖かい音が魅力です。
演奏
 運指(楽器を演奏する時の指の運び)が複雑で、楽器を始めた頃は運指表を見るのが嫌でした。他の楽器に比べてキーの数が多く、特に親指に至っては、右手が4個、左手が9個もあります。他の楽器の人にも、「ファゴットの親指って常に動いてるよね、大変そう!」とよく言われます。
◎今後の目標は何でしょうか。
 オーケストラ、室内楽、ソロ等、様々な音楽を日々勉強し、聴いている人が癒されるような音楽を常に心がけてこれからも頑張りたいです。
◎鳥取を離れて10年、鳥取にはどんな思いでいますか。
 鳥取には、中学時代の友人、恩師、そして何よりも大事な家族がいます。鳥取で演奏する機会は少ないですが、今までお世話になった方々に少しでも恩返しができればと思います。



 中学時代の吹奏楽顧問
 馬 渕 泰 子 先生(鳥取市立国府中学校教諭)


◎柳田さんは、どういう生徒さんでしたか?
 当時からしっかりして落ち着いていて、1人で工夫してできる人でした。それで、独奏が多いオーボエ、ファゴットを体験してもらいました。
 昨年4月の「木管アンサンブル」公演には、中学時代の同級生がたくさん来ていました。10年経った今も同級生が応援してくれるって、なかなかないことです。彼女の人柄だと思います。

◎柳田さんへのメッセージ
 クラシックの世界で活動を続けるのは、なかなか大変なことです。人生一度だけなので、自分の道をまっとうしてほしいですね。


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